
ベンチプレスを強くしたいとき、
「週に何回ベンチプレスをやればいいのか?」
は非常に気になるところだと思います。
週1回では少ないのか。
週2〜3回くらいがいいのか。
それとも、MAX重量を伸ばしたいなら週4〜5回やった方がいいのか。
さらに、
「1回のベンチプレスは何分くらい練習すればいいのか?」
という疑問もあります。
ただ、例えば、
- 週4回 × 20分
- 週2回 × 60分
では、頻度は前者の方が多いですが、1週間の合計練習時間は後者の方が長くなります。
こういった情報は、ベンチプレス指導者個人の見解は見かけますが、自分の経験やトレーナーとしての経験則によるものがほとんどです。
そこで今回は、僕のベンチプレスメニュー作成に回答していただいたデータから、分析条件を満たした男性303人を対象に、
- ベンチプレスの頻度
- 1回のベンチプレス練習時間
- 1か月あたりのベンチプレス練習時間
- ベンチプレスのMAX重量
の関係を分析しました。
そこから、ベンチプレスの
- 週あたりの頻度
- 1回あたりのトレーニング時間
- 1ヶ月の総トレーニング時間
が多いと、現在のMAXが高いのかということを検証しました。
MAXと頻度および練習時間の関係が知りたい方はご参照ください。
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では、先に結果から見ていきましょう。
- ベンチプレスは週何回・何時間やる?303人のデータから分かったこと
- ベンチプレスの頻度とMAX重量を比較|週何回が強い?
- ベンチプレス1回の練習時間とMAX重量を比較
- ベンチプレスの月間練習時間とMAX重量を比較
- ベンチプレスは「週何回」より「月に何時間」が重要?
- この結果は過去の研究とも矛盾しない
- ここまでの情報による考察
- 【詳細分析】ベンチプレスの頻度・練習時間とMAX重量を統計的に検証
- 今回の分析対象と計算方法
- 「練習時間」は厳密なトレーニングボリュームではない
- ベンチプレスの頻度とMAX重量には明確な関係がなかった
- 1回のベンチプレス練習時間とMAX重量には有意な関係があった
- 月間ベンチプレス練習時間とMAX重量にも有意な関係があった
- 「週何回」より「練習時間」の方がMAX重量を説明しやすかった
- ベンチプレスは月15〜20時間が最適な練習時間なのか?
- ベンチプレスの練習時間を増やせばMAXが伸びるとは限らない
- 既存研究と今回の303人のデータをどう考える?
- まとめ|ベンチプレスは週何回だけでなく月間の練習時間も考えよう
- 参考文献
ベンチプレスは週何回・何時間やる?303人のデータから分かったこと
今回の結果を簡単にまとめると、
「週何回やっているか」よりも、「実際にどれくらいの時間ベンチプレスをしているか」の方がMAX重量との関係が強かった。
という結果になりました。
具体的には、
週のベンチプレス頻度だけでは、MAX重量との明確な関係は確認できませんでした。
一方、
1回のベンチプレス練習時間が長い人ほどMAX重量が高い傾向
がありました。
さらに、
週の頻度 × 1回の練習時間
から1か月あたりのベンチプレス練習時間を計算したところ、
月間の練習時間が長い人ほどMAX重量も高い傾向
が確認できました。
まずは、難しい統計の話を抜きにして実際の数字を見ていきます。
ベンチプレスの頻度とMAX重量を比較|週何回が強い?
まずは、
ベンチプレスを週何回行っているか
によってMAX重量を比較しました。
週1〜週5回以上のMAX重量
結果はこちらです。
| ベンチプレス頻度 | 人数 | MAX重量の中央値 |
|---|---|---|
| 週1回 | 13人 | 95kg |
| 週2回 | 84人 | 93.75kg |
| 週3回 | 128人 | 100kg |
| 週4回 | 56人 | 100kg |
| 週5回以上 | 22人 | 105kg |
最も高かったのは週5回以上で、
MAX重量の中央値は105kg
でした。
週1回では95kg。
週2回では93.75kg。
週3〜4回では100kgです。
週5回以上の人は多少高くなっていますが、
週1→週2→週3→週4→週5と、頻度が上がるほどMAX重量もきれいに上がっているわけではありません。
週3回・週4回やれば必ず強いわけではない
例えば、
「週4回ベンチをしている人は、週2回の人より圧倒的に強い」
という結果にはなっていません。
週2回のMAX中央値は93.75kg。
週4回でも100kgです。
後ほど詳しく紹介しますが、この違いは統計的にも明確なものではありませんでした。
つまり今回の303人では、
単純にベンチプレスの頻度が高い人ほどMAXも高い、という関係は確認できなかった
ということです。
ベンチプレス1回の練習時間とMAX重量を比較
一方、
1回のベンチプレス練習時間
で比較すると、頻度とは違う結果になりました。
30分・60分・90分でMAX重量はどれくらい違う?
結果はこちらです。
| 1回のベンチ練習時間 | 人数 | MAX重量の中央値 |
|---|---|---|
| 30分以下 | 110人 | 92.5kg |
| 31〜45分 | 74人 | 100kg |
| 46〜60分 | 93人 | 105kg |
| 61〜90分 | 18人 | 108.75kg |
| 120分以上 | 8人 | 131.25kg |
30分以下では、
92.5kg
でした。
31〜45分では、
100kg
46〜60分では、
105kg
61〜90分では、
108.75kg
です。
1回の練習時間が長くなるにつれて、MAX重量も高くなっています。
なお、120分以上では131.25kgですが、このグループは8人しかいないため、数字は参考程度に考えた方がいいでしょう。
30分以下と60分前後ではMAX中央値に12.5kgの差
比較しやすいところでは、
30分以下のグループは、
92.5kg
だったのに対して、
46〜60分では、
105kg
でした。
中央値では、
12.5kgの差
があります。
もちろん、
「30分しかやらないから弱い」
とは限りません。
MAX150kgを挙げるような人だからこそ、ベンチプレスへの取り組みが本格的で、1回の練習時間も長くなっている可能性があります。
それでも、
単純な週の頻度よりも、1回の練習時間の方がMAX重量との関係がはっきりしていた
ことは今回のデータでかなり面白いところです。
このデータから考えられることは、20分〜30分の使用制限がある場合、ベンチプレスの重量を伸ばすのに不利になる可能性がある、ということですね。
「でも、俺は使用制限30分のジムで150kg上がるぜ。だから関係ないんだぜ」
という人がいますが、個人と平均は別の概念なので、ご留意下さい。
ベンチプレスの月間練習時間とMAX重量を比較
「1回60分練習している」
という情報だけでも、まだ実際の練習量は分かりません。
週1回と週4回では大きく変わるからです。
そこで次に、
週の頻度 × 1回の練習時間
から、
1か月にベンチプレスを何時間行っているのか
を計算しました。
月間ベンチプレス時間の計算方法
今回は、
週の頻度 × 1回の練習時間 × 約4.33週
で計算しています。
例えば、
週2回 × 30分なら、
1週間で60分。
1か月では約4.3時間です。
週3回 × 60分なら、
1週間で180分。
1か月では約13時間になります。
月5時間・10時間・15時間・20時間でMAXを比較
結果はこちらです。
| 月間ベンチ練習時間 | 人数 | MAX重量の中央値 |
|---|---|---|
| 5時間未満 | 59人 | 95kg |
| 5〜10時間未満 | 130人 | 95kg |
| 10〜15時間未満 | 70人 | 100kg |
| 15〜20時間未満 | 21人 | 115kg |
| 20時間以上 | 23人 | 107.5kg |
5時間未満では、
95kg
5〜10時間でも、
95kg
10〜15時間では、
100kg
15〜20時間では、
115kg
でした。
20時間以上では107.5kgと少し下がりますが、
全体としては、
月間のベンチプレス練習時間が長い人ほどMAX重量も高い
という傾向が見られました。
ベンチプレスは「週何回」より「月に何時間」が重要?
ここまでを見ると、かなり面白い違いがあります。
頻度だけではMAXとの関係は弱かった
週1〜週5回以上まで比較しても、頻度だけではMAX重量との明確な関係は確認できませんでした。
つまり、「週何回やっているか」だけを聞いても、その人のMAX重量をあまり説明できませんでした。
練習時間ではMAXとの関係が見られた
一方、
1回の練習時間では、
- 30分以下:92.5kg
- 31〜45分:100kg
- 46〜60分:105kg
- 61〜90分:108.75kg
となっています。
さらに、
頻度 × 練習時間
で計算した月間練習時間でも、長くなるほどMAXが高くなる傾向が確認されました。
今回の303人だけを見るなら、
「週何回やるか」だけではなく、「1週間や1か月で実際にどれくらいベンチプレスをしているか」も重要かもしれない。
という結果です。
この結果は過去の研究とも矛盾しない
ここで気になるのが、
「頻度はあまり関係なくて、練習量の方が重要という結果は、研究的にもおかしくないのか?」
というところです。
実は、既存研究でも似た議論があります。
2018年にGrgicらが発表したシステマティックレビュー・メタ解析では、22研究を統合したところ、全体ではトレーニング頻度が高い方が筋力向上も大きくなっていました。
しかし、
総トレーニング量を揃えた研究だけで比較すると、頻度による有意な違いは確認されませんでした。[1]
つまり、
「週何回やったか」そのものよりも、
頻度を増やしたことで週全体のトレーニング量が増えた影響
が含まれている可能性があります。[1]
また、Ralstonらのメタ解析では、週あたりのセット数が多い条件の方が、少ない条件より筋力向上が大きくなる傾向が報告されています。[2]
このあたりは、
頻度そのものだけを見るより、1週間全体でどのくらいトレーニングをしているかを見る必要がある
という今回の結果とも整合する部分があります。
ただし、
「頻度は意味がない」
と考えるのも正しくありません。
2026年に発表された67研究・2058人を対象としたメタ回帰では、週間ボリュームが増えるほど筋力向上も大きくなる関係に加え、頻度についても筋力向上との正の用量反応関係が示されています。[3]
ただし、どちらも量を増やすほど効果が同じ割合で増え続けるのではなく、
徐々にリターンが小さくなる
という結果でした。[3]
これは今回の検証における月20時間以上のベンチプレスのトレーニング時間で若干MAX重量が低かったことに関係するかもしれません。
つまり既存研究まで含めると、
頻度そのものに意味がないわけではないが、頻度だけを切り離して考えるのも適切ではない
というのが現状に近いでしょう。
ここまでの情報による考察
ここまでで
- 頻度はあまり関係しない可能性
- トレーニング時間は関係する可能性
- 月間総トレーニング時間は関係する可能性
が示唆されました。
この結果から考えられるのは、
- 人によって最適な頻度が異なる可能性
- 1回のトレーニングで時間が取れないことは、質の高い練習ができないために、重量の伸びにネガティブな影響がある可能性
- トータルでトレーニングする量は筋肉量やフォーム練習のために必要
というのが現段階での僕の考えです。
頻度に関しては、僕自身は
- 最低週3回以上
- または週15セット以上
を推奨していますが、
- 週4回以上を推奨する人
- 週1を推奨する人
- 実際に週1〜2で伸ばしている人
- 完全に疲労を抜いてから行うことで伸ばしている人
がいるのも事実です。
今回の結果を受けて、やはり頻度に関しては個人差がかなり大きいのだということへの理解が深まりました。
冒頭でご紹介した「ベンチプレス大全」では、このような実データを用いた検証も含めてベンチプレスを体系化しています。
ベンチプレスを100kg、120kg、その先まで伸ばすためのプログラム(計算機、メニュー作成AI付)・フォーム・実践テクニックを体系的にまとめています。
さらにそれらの知識やデータをAIに学習させ、メニュー作成や質問回答をしてくれるAI「うつBOT」も利用可能です。
【詳細分析】ベンチプレスの頻度・練習時間とMAX重量を統計的に検証
ここまでは、
できるだけ統計用語を使わずに結果を紹介しました。
ここからは、
「本当に偶然ではなさそうなのか?」
「体重が重い人だからMAXが高いだけではないのか?」
まで含めて詳しく見ていきます。
今回の分析対象と計算方法
今回の主解析では、
必要なデータが揃っている男性303人を対象としました。
分析した主な項目は、
- ベンチプレスMAX重量
- 体重
- 年齢
- 週のベンチプレス頻度
- 1回のベンチプレス練習時間
- 月間ベンチプレス練習時間
です。
MAX重量だけでなく「MAX÷体重」でも確認
ベンチプレスのMAX重量には体重がかなり影響します。
例えば、
体重60kgで100kgを挙げる人と、
体重100kgで100kgを挙げる人では、
同じ100kgでも相対的な強さは違います。
そこで今回は、
でも補助的に分析しました。
月間練習時間の計算方法
月間練習時間は、
で計算しました。
なお、
「週5回以上」は週5回、
「120分以上」は120分として計算しています。
実際にはそれ以上練習している人もいるため、一部の人については月間時間を少なめに見積もっています。
「練習時間」は厳密なトレーニングボリュームではない
ここは重要なので補足しておきます。
今回、
頻度 × 練習時間
を使って「月間ベンチ練習時間」を算出していますが、これは研究で一般的に使われる、
セット数・レップ数・使用重量などから算出するトレーニングボリュームと同じものではありません。
レジスタンストレーニングの負荷量は、
- セット数
- レップ数
- 重量
- 休憩時間
- 動作速度
- 種目
など複数の要因によって決まるため、単一の指標だけで完全に表現することは難しいことが指摘されています。[4]
例えば同じ60分でも、10セット行っている人と、5セットしか行わず長く休んでいる人では、実際の刺激は同じではありません。
そのため今回の「月間練習時間」は、
正確なトレーニングボリュームではなく、ベンチプレスに費やしている練習量を大まかに表す代理指標
と考えてください。
これは今回の分析の重要な限界でもあります。
ベンチプレスの頻度とMAX重量には明確な関係がなかった
まず、
ベンチプレスの頻度とMAX重量の関係です。
Spearmanの順位相関係数は、
p値は、
でした。
つまり、
今回のデータでは、頻度とMAX重量の間に統計的に明確な関係は確認できませんでした。
週1〜週5以上の比較でも有意差なし
週1〜週5以上のグループに分けて比較しても、
でした。
体重差の影響を小さくするため、
体重比MAXでも確認しましたが、
でした。
こちらも明確な関連はありません。
さらに、
- 体重
- 年齢
- 1回の練習時間
を同時に考慮した分析でも、
頻度については、
でした。
少なくとも今回の303人では、
ベンチプレスの頻度単独では、MAX重量との強い関係は確認できなかった
という結果です。
ただし、先ほど紹介した通り、介入研究をまとめた最新のメタ解析・メタ回帰では頻度と筋力向上の関係も報告されています。[1][3]
そのため今回の結果だけから、
「頻度は筋力向上に関係ない」
と一般化することはできません。
1回のベンチプレス練習時間とMAX重量には有意な関係があった
次に、
1回の練習時間とMAX重量
です。
相関係数は、
p値は、
でした。
つまり、
1回の練習時間が長い人ほどMAX重量も高いという正の関連が確認されました。
ただし、
なので、ものすごく強い関係ではありません。
練習時間だけでMAX重量が決まるわけではないということです。
体重比MAXでも関係が残った
体重比MAXとの関係でも、
でした。
つまり、
「体重が重い人ほどMAXが高く、その人たちが長時間練習していただけ」
では説明しきれない関係が残っています。
体重・年齢・頻度を考慮しても有意だった
さらに、
- 体重
- 年齢
- 頻度
を同時に考慮した分析でも、
練習時間との関係は残りました。
分析上では、
1回の練習時間が10分長い人ほど、MAX重量が約2.6kg高い
という関係でした。
30分なら、
約7.9kg
に相当します。
ただし、この数字の解釈には注意が必要です。
これは、
練習時間を30分増やせばMAXが7.9kg伸びる
という意味ではありません。
あくまで、
今回の303人を比較すると、30分の練習時間差と約7.9kgのMAX差が関連していた
という意味です。
月間ベンチプレス練習時間とMAX重量にも有意な関係があった
次に、
頻度 × 1回の練習時間
から算出した月間練習時間です。
月間練習時間とMAX重量の相関は、
でした。
つまり、
1か月にベンチプレスを行っている時間が長い人ほどMAX重量も高い傾向
が確認されました。
体重比MAXでも、
でした。
こちらも有意な関係です。
月間練習時間が5時間多い人はMAXが約3.4kg高かった
体重・年齢を考慮した回帰分析では、
月間練習時間が1時間長いことは、
約0.68kg高いMAX重量
と関連していました。
5時間なら、
約3.4kg
です。
繰り返しますが、
月の練習を5時間増やせばMAXが3.4kg伸びる
という意味ではありません。
「現在どれくらい練習しているか」と、
「現在どれくらい挙がるか」
の関係です。
「週何回」より「練習時間」の方がMAX重量を説明しやすかった
今回さらに、
体重と年齢からMAX重量を説明するモデルに、
頻度や練習時間を追加した場合、
どれくらいMAX重量を説明しやすくなるかも比較しました。
体重と年齢だけでは、
でした。
ここに、
ベンチプレス頻度
を追加すると、
です。
ほとんど変わりません。
一方、
1回の練習時間
を追加すると、
まで上がりました。
月間ベンチ練習時間
を追加した場合も、
でした。
難しい統計の話を抜きにすると、
その人が週何回ベンチをしているかを知ってもMAXの説明力はほとんど増えなかった一方、何分・何時間練習しているかを知ると少し説明しやすくなった
ということです。
ここでも、
頻度単独より練習時間の方がMAXとの関係が強かった
ことが確認できます。
ベンチプレスは月15〜20時間が最適な練習時間なのか?
今回の結果では、
月15〜20時間未満のグループが、
MAX中央値115kg
で最も高くなりました。
20時間以上では、
107.5kg
に下がっています。
これを見ると、
「ベンチプレスは月15〜20時間くらいが一番いいのでは?」
と思うかもしれません。
ただし、
現時点ではそこまで言えません。
月20時間以上でMAXが下がっても「やりすぎ」とは言えない
15〜20時間のグループは21人。
20時間以上は23人です。
他のグループより人数が少なくなっています。
さらに、
「ある練習時間を超えるとMAXが低くなる」
という曲線的な関係についても分析しましたが、明確な結果は得られませんでした。
したがって、
月15〜20時間が最適で、それ以上はやりすぎ
とは言えません。
これは既存研究とも考え方が似ています。
2026年のメタ回帰でも、トレーニング量や頻度の増加と筋力向上には正の関係がある一方で、量を増やすほど追加効果は徐々に小さくなることが示されています。[3]
つまり、
「多ければ多いほど無限に強くなる」
とは考えない方がいいでしょう。
ベンチプレスの練習時間を増やせばMAXが伸びるとは限らない
今回の記事で最も重要な注意点です。
今回調べたのは、
現在の練習量と現在のMAX重量の関係
です。
MAX重量の伸びそのものを追跡した研究ではありません。
「長く練習したから強い」とは限らない
例えば、MAX150kgの人が1回90分ベンチプレスをしていたとします。
しかし、
90分練習したから150kgになったのか、
150kgを挙げるほどベンチプレスに本格的に取り組んでいるから90分練習しているのか、
今回のデータでは区別できません。
これは非常に重要です。
今回確認できたのは、
相関・関連
であって、
原因と結果
ではありません。
ベンチプレス歴も今回の分析には入っていない
さらに、ベンチプレス歴も考慮できていません。
始めて3か月の人と、5年間続けている人では、当然MAX重量に差が出ます。
今回のデータには、
- 3か月前のMAX
- 6か月前のMAX
- ベンチプレス歴
- 現在のメニューを続けている期間
などがありません。
そのため、
「月○時間やればMAXが○kg伸びる」
という分析はできません。
今後こうしたデータも取得すれば、
を使って、
実際のMAXの伸びと練習量の関係
を分析できるようになります。
これは今回の分析より、さらに面白いデータになると思います。
既存研究と今回の303人のデータをどう考える?
今回の結果だけを見ると、
頻度より練習時間の方が重要
に見えます。
ただ、ここは少し慎重に考える必要があります。
既存研究では、
週間セット数を増やすことで筋力向上が大きくなる可能性
が報告されています。[2](ただし、週間セット数の増加≒練習時間の増加とも考えられる。)
頻度については、
総トレーニング量を揃えると違いが小さくなるというメタ解析がある一方[1]、
最新の大規模なメタ回帰では、頻度そのものについても筋力向上との用量反応関係が示されています。[3]
つまり、
今回の結果と既存研究を合わせると、
「頻度なんてどうでもいい」ではなく、「頻度という数字だけで考えず、週全体でどれだけ有効なトレーニングを行えているかを見る必要がある」
と考えるのが妥当だと思います。
また、今回使用した「練習時間」も、セット数や使用重量を直接測っているわけではありません。[4]
今後、
- 週間セット数
- 平均RPE
- レップ数
- 使用重量
- トレーニング歴
- 過去のMAX
まで取得できれば、
「頻度」
「練習時間」
「実際のトレーニングボリューム」
のどれがMAXの伸びと最も関係するのかまで分析できるようになります。
まとめ|ベンチプレスは週何回だけでなく月間の練習時間も考えよう
今回は、
男性303人の実データから、
ベンチプレスの頻度・練習時間とMAX重量の関係
を分析しました。
結果をまとめると、
- ベンチプレスの頻度単独ではMAX重量との明確な関係が確認できなかった
- 1回の練習時間が長い人ほどMAX重量が高い傾向だった
- 月間のベンチプレス練習時間が長い人ほどMAX重量が高い傾向だった
- 体重や年齢を考慮しても、練習時間とMAX重量の関係は残った
- 月15〜20時間群のMAX中央値が最も高かったが、それが最適な練習時間とは言えない
- 練習時間はセット数・レップ数・重量を直接表すトレーニングボリュームとは異なる
- 今回分かったのは「現在の練習時間と現在のMAXの関係」であり、「練習時間を増やせばMAXが伸びる」と証明したものではない
今回特に興味深かったのは、
「週何回ベンチプレスをするか」よりも、「実際に何時間ベンチプレスをしているか」の方がMAX重量との関係が強かった
という点です。
ただし、頻度が重要ではないという意味ではありません。
既存研究でも、頻度・週間ボリューム・強度など複数の要因が筋力向上に関係することが示されています。[1][2][3]
ベンチプレスのメニューを考えるときは、
「週2回か週3回か」
だけを見るのではなく、
その頻度で、実際にどれだけ質の高い練習量を確保できているのか
まで考えた方がよさそうです。
参考文献
[1] Grgic J, Schoenfeld BJ, Davies TB, Lazinica B, Krieger JW, Pedisic Z. Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine. 2018;48:1207–1220. doi:10.1007/s40279-018-0872-x.
[2] Ralston GW, Kilgore L, Wyatt FB, Baker JS. The Effect of Weekly Set Volume on Strength Gain: A Meta-Analysis. Sports Medicine. 2017;47(12):2585–2601. doi:10.1007/s40279-017-0762-7.
[3] Pelland JC, Remmert JF, Robinson ZP, Hinson SR, Zourdos MC. The Resistance Training Dose Response: Meta-Regressions Exploring the Effects of Weekly Volume and Frequency on Muscle Hypertrophy and Strength Gains. Sports Medicine. 2026;56(2):481–505. doi:10.1007/s40279-025-02344-w.
[4] Scott BR, Duthie GM, Thornton HR, Dascombe BJ. Training Monitoring for Resistance Exercise: Theory and Applications. Sports Medicine. 2016;46(5):687–698. doi:10.1007/s40279-015-0454-0.
