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ベンチプレスをしていると、
「100kgを10回できたら、MAXは何kgくらい?」
と気になることがあると思います。
そこでよく使われるのが「RM換算」です。
使用重量と回数から、
「1回だけなら何kgくらい挙げられそうか?」
を推定する方法ですね。
僕のサイトでも以前からRM換算計算機を公開してきました。
ただ、多くのベンチプレス記録を見ているうちに、一つ気になることが出てきました。
RM換算で出た数字は、本当に実際のMAX重量と合っているのか?
特に気になっていたのが、
80kg×10回=1RM約100kg
という、国内でよく使われている目安です。
そこで今回は、僕が実施しているベンチプレス100kg・120kg達成コースなどで蓄積した、
トレーニング記録4,438件
を分析しました。
そこで条件を設定してデータを絞り込み、実際のベンチプレス記録からRM換算の係数を求めました。
今回は、
- なぜ従来のRM換算式を見直したのか
- 4,438件からどのようにデータを抽出したのか
- 実データからどのように係数を計算したのか
- 既存のRM換算式と比べてどうだったのか
まで詳しく紹介します。
今回の分析の内容は当サイトのベンチプレスRM換算機の公式として使用しています。

- なぜ「80kg×10回=100kg」を見直したのか?
- そもそもRM換算とは?
- RM換算は実際どのくらい正しい?
- 4,438件のベンチプレスデータを分析
- 限界付近のデータをどう抽出したのか?
- トップシングル側も限界付近のデータに絞った
- 最終的に172件を分析対象として抽出
- 実データでは5回・8回・10回でどのくらいの差があった?
- 実データから独自のRM換算式を作る
- なぜ各データのKを単純平均しなかったのか?
- 最小二乗法で計算するとK=30.99になった
- 条件を変えても「31前後」になるのか?
- 「÷31」は既存のRM換算式より実データに合ったのか?
- 独自に計算したらEpley式とほぼ同じになった
- 80kg×10回なら推定1RMはいくつになる?
- 5回・8回・10回でも実データと近い
- 100kgを5〜10回できた場合の推定1RM
- RM換算にセット数は必要なのか?
- RM換算を使うときの注意点
- 今回の分析の限界
- 結論|4,438件の実データから「÷31」になった
- 参考文献
なぜ「80kg×10回=100kg」を見直したのか?
日本国内のベンチプレス関連サイトでは、
80kgを10回挙げられれば、1RMは約100kg
という目安をよく見かけます。
僕自身もこれまで、当サイトのRM換算計算機では、
という式を使用していました。
80kg×10回なら、
です。
非常に覚えやすく、
「ベンチプレス100kgを挙げたいなら、まず80kg×10回を目指そう」
という目安としても分かりやすい式です。
ただ、実際のトレーニングデータを見ていると、
RM換算では100kg程度なのに、実際には105kgを挙げている
というケースを何度も見かけました。
そこでまず、
「そもそも、この÷40はどこから来たのか?」
を確認しました。
国内で使われる「÷40」はO’Conner式と同じ
「重量×回数÷40+重量」という式は、1RM予測式として知られるO’Conner式と同じ形です。
O’Conner式は、
と表されます[5]。
0.025は1/40なので、
となります。
当サイトでも、国内で一般的に使われていることから、これまでRM換算式としてO’Conner式を採用したいました。
O’Connerらの式は1989年の『Weight Training Today』に由来し、後の1RM予測式の比較研究でも取り上げられています[2][5]。
Fitness World Japan(FWJ)のRM換算表でも、ベンチプレスの最大挙上重量について同じ÷40式が掲載されています[6]。
RM換算は使う数式によって結果が変わる
ただし、1RMを推定する式はO’Conner式だけではありません。
代表的なものには、
- O’Conner式
- Epley式
- Brzycki式
- Lombardi式
- Mayhew式
- Wathan式
などがあります。
LeSuerらは1997年、ベンチプレス・スクワット・デッドリフトについて複数の1RM予測式を同じデータで比較しています[2]。
80kgを10回挙げた場合でも、使用する式によって結果は変わります。
| RM換算式 | 80kg×10回の推定1RM |
|---|---|
| O’Conner式(÷40) | 100.0kg |
| Lombardi式 | 約100.7kg |
| Mayhew式 | 約104.7kg |
| Epley式(÷30) | 約106.7kg |
| Brzycki式 | 約106.7kg |
| Wathan式 | 約107.8kg |
同じ80kg×10回でも、
100kgと推定する式もあれば、106〜108kg程度と推定する式もあります。
つまり、
「80kg×10回=100kg」が唯一の正しいRM換算ではありません。
重要なのは、
実際のベンチプレスデータとどの程度一致しているのか
だと考えました。
そもそもRM換算とは?
RMは、
Repetition Maximum(最大反復回数)
を意味します。
例えば、
| 記録 | 意味 |
|---|---|
| 100kgを5回が限界 | 100kg=5RM |
| 80kgを10回が限界 | 80kg=10RM |
| 80kgを10回やったが、まだ5回できそう | 80kgは10RMではない |
ここで重要なのは、
「10回やった=10RM」ではない
ということです。
RM換算は、本来こうした限界付近の重量から、
「1回だけなら何kg挙げられそうか?」
を推定するために使います。
RM換算は実際どのくらい正しい?
複数回挙げられる重量から1RMを推定する考え方自体には研究上の根拠があります。
Reynoldsらは男女70人を対象に、
- 1RM
- 5RM
- 10RM
- 20RM
をチェストプレスとレッグプレスで測定しました[1]。
チェストプレスでは、1RMとの関係を示す決定係数が、
| 使用したRM | 決定係数 |
|---|---|
| 5RM | R²=0.993 |
| 10RM | R²=0.976 |
| 20RM | 5RM・10RMより低下 |
となっています[1]。
研究者らは線形の予測式を使用する場合、
10回を超えない範囲から1RMを推定すること
を推奨しています[1]。
つまり、
5〜10回程度の限界重量から1RMを推定する
という考え方自体は十分現実的です。
一方で、
相関が高いことと、一人ひとりのMAXを正確に言い当てられることは同じではありません。
RM換算は便利ですが、MAXをピッタリ当てる魔法の計算式ではないという前提は必要です。
4,438件のベンチプレスデータを分析
今回使用したのは、僕が実施している、
- ベンチプレス100kg達成コース
- ベンチプレス120kg達成コース
などのトレーニング記録です。
5回・8回・10回のメインセットを集計すると、
| レップ数 | データ数 |
|---|---|
| 5回 | 1,300件 |
| 8回 | 981件 |
| 10回 | 2,157件 |
| 合計 | 4,438件 |
となりました。
ただし、
この4,438件をすべてそのままRM換算式の作成に使うことはできません。
同じ「100kg×10回」でも意味が違う
例えば2人が同じ100kg×10回を行ったとします。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 重量 | 100kg | 100kg |
| 回数 | 10回 | 10回 |
| 10回終了時 | あと3回できそう | 10回目がギリギリ |
| 100kgは10RMか | × | ほぼ○ |
記録だけを見れば、どちらも、
100kg×10回
です。
しかし、2人の本当の1RMが同じとは限りません。
Aさんにとって100kgは10RMではありません。
一方、Bさんにとっては10RMにかなり近い重量です。
つまりRM換算式を作るなら、
重量と回数だけでなく、そのセットがどれだけ限界に近かったのか
まで考慮する必要があります。
そこで今回は、
限界付近まで到達した可能性が高いデータ
を抽出しました。
限界付近のデータをどう抽出したのか?
メインセットはレップ数を落とす直前を抽出
筋力トレーニングでは、限界まであと何回できるかを表す指標としてRPEやRIRが使われます。
RIRは、
Repetitions In Reserve
の略で、
「あと何回できる余裕があるか」
を意味します。
Zourdosらが使用したRIRベースのRPEでは、
| RPE | RIR | 状態 |
|---|---|---|
| 10 | 0 | もう1回できない |
| 9 | 1 | あと1回程度 |
| 8 | 2 | あと2回程度 |
という関係になります[3]。
今回の問題は、4,438件すべてについてRPEを直接記録していたわけではないことです。
そこで利用したのが、
トレーニングプログラム自体の進行ルール
でした。
基本的には、
| 現在の設定 | 次の設定 | 今回の判断 |
|---|---|---|
| 10回 | 8回へ変更 | 10回が限界付近 |
| 8回 | 5回へ変更 | 8回が限界付近 |
| 5回 | 次サイクル10回 | 5回が限界付近 |
という流れで進めています。
つまり、
次回にレップ数を落としている場合、その直前のセットはかなり限界に近かった可能性が高い
と考えました。
本当に限界付近だったのか?
ただし、
「次回レップ数を落としたから限界だったはず」
だけでは十分ではありません。
そこで、セットの可否が明示されているデータも確認しました。
該当する84件を見ると、
| セット結果 | 件数 |
|---|---|
| 失敗 | 79 |
| ギリギリ | 4 |
| 成功 | 1 |
| 合計 | 84 |
でした。
失敗またはギリギリだった割合は、
です。
つまり、
98.8%が「失敗」または「ギリギリ」
でした。
この結果から、
レップ数を変更する直前のセットを限界付近のデータとして扱う
ことには一定の妥当性があると判断しました。
ただし、研究室でRPEを直接測定したわけではありません。
あくまで、
実際のトレーニング記録から限界付近を推定するための代理指標
です。
トップシングル側も限界付近のデータに絞った
メインセットだけを限界付近にしても十分ではありません。
比較対象となるトップシングルがRPE7程度なら、
本当の1RMとの比較には向かない
からです。
今回のプログラムではトップシングルについても、
重量を徐々に上げる
↓
かなりギリギリになる、または失敗する
↓
次回の練習で重量を落とす
↓
再び積み上げる
という運用をしています。
そこで、
次回トップシングル重量が5kg以上低下していること
を限界付近まで到達した一つのサインとして使用しました。
一方、
100kg
↓
70kg
のような極端な低下には、
- デロード
- 長期休養
- 怪我
- フォーム変更
- プログラム変更
などが混ざる可能性があります。
そこで基本条件を、
としました。
練習報告フォームからも判定方法を確認
練習報告フォームに記録されている「挙がり評価」と、次回トップシングルの変化も確認しました。
| 挙がり評価 | 次回重量変化の中央値 | 次回5kg以上下げた割合 |
|---|---|---|
| 1 | +2.5kg | 0% |
| 2 | +2.5kg | 0% |
| 3 | +2.5kg | 8.1% |
| 4 | +2.5kg | 27.0% |
| 5 | −10kg | 68.2% |
| 6 | −10kg | 75.0% |
評価1〜4では、基本的に次回も重量を上げています。
ところが、
評価5〜6になると次回重量を大きく下げる割合が急増しています。
実際の報告にも、
「トップシングルはRPE9.5ぐらいで結構ギリでした」
といった記録があります。
このことから、
次回トップシングルを5kg以上落とした
という条件も、限界付近のトップシングルを抽出する代理指標として一定程度機能していると判断しました。
最終的に172件を分析対象として抽出
最終的な基本条件をまとめると、
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| メインセット | 5回・8回・10回 |
| 次回レップ | 10→8、8→5、5→10 |
| トップセット | 1回 |
| 次回トップ重量 | 5〜15kg低下 |
| 必須データ | トップ重量・セット重量の両方を記録 |
です。
4,438件のトレーニング記録のうち、この条件をすべて満たしたものは、
172件
でした。
ここから、
トップシングル重量と限界付近のセット重量の関係
を調べました。
実データでは5回・8回・10回でどのくらいの差があった?
まず、
を計算しました。
例えば、
- トップシングル120kg
- セット重量90kg×10回
なら、
です。
つまり、
という関係です。
172件について同じ計算をすると、中央値は、
| 回数 | データ数 | トップシングル÷セット重量 |
|---|---|---|
| 5回 | 65 | 1.167倍 |
| 8回 | 41 | 1.250倍 |
| 10回 | 66 | 1.333倍 |
となりました。
ざっくり言えば、
- 5RMの約1.17倍
- 8RMの約1.25倍
- 10RMの約1.33倍
が限界付近のトップシングルになっています。
かなりきれいな関係です。
実データから独自のRM換算式を作る
今回、RM換算式を、
という形にします。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| T | トップシングル重量 |
| W | セット重量 |
| r | レップ数 |
| K | 今回求めたい係数 |
例えばEpley式なら、
です。
では、
今回のベンチプレスデータではKはいくつになるのか?
を求めます。
1件のデータならKを逆算できる
から、
したがって、
となります。
例えば、
- トップシングル120kg
- 90kg×10回
なら、
です。
この1件だけなら、
Epley式と同じ÷30
になります。
なぜ各データのKを単純平均しなかったのか?
では、172件それぞれについてKを計算して平均すればよいのでしょうか。
この方法には問題があります。
例えば、
- セット重量100kg
- トップシングル102.5kg
のように2つの重量差が非常に小さい場合、
が小さくなります。
すると、
なので、Kが極端に大きくなることがあります。
つまり、
個々のKを単純平均すると、一部の極端な値の影響を強く受けやすい
という問題があります。
そこで今回は、
172件全体に対して最小二乗法を使い、一つのKを推定
しました。
最小二乗法で計算するとK=30.99になった
先ほどの式、
を変形すると、
です。
ここで、
とすると、
になります。
さらに、
と置けば、
です。
原点を通る最小二乗法では、
なので、
となります。
この式に172件のデータを入れた結果、
となりました。
ほぼ、
31
です。
そこで実際に使いやすいように丸め、
としました。
これが今回、
実際のベンチプレス練習データから算出したRM換算式
です。
条件を変えても「31前後」になるのか?
分析では、
条件をどう設定するかによって結果が大きく変わっていないか
も確認する必要があります。
そこで抽出条件を変えて再計算しました。
| 条件 | データ数 | 推定K |
|---|---|---|
| トップ低下5〜10kg | 143 | 30.78 |
| トップ低下5〜12.5kg | 159 | 30.87 |
| トップ低下5〜15kg | 172 | 30.99 |
| トップ低下5〜20kg | 191 | 31.36 |
| 明示的な見送りを除外 | 164 | 30.57 |
| 明示的な失敗・見送りを除外 | 128 | 31.20 |
条件を多少変更しても、
30.6〜31.4程度
に収まっています。
つまり、
「5〜15kgという条件を選んだから31になった」
というわけではなさそうです。
同じ参加者のデータが多い影響も確認
今回の172件は、
1人につき1件
ではありません。
同じ参加者が何度もトレーニングしているため、人によって記録数が異なります。
そこで、
参加者単位のクラスターブートストラップ
も行いました。
簡単に言えば、記録を1件ずつランダムに選び直すのではなく、
参加者単位でデータを選び直し、何度もKを再計算する方法
です。
結果は、
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| Kの中央値 | 30.94 |
| 95%範囲 | 約29.2〜33.0 |
となりました。
やはり中心は、
31前後
です。
特定の参加者のデータ数が多かったことだけで31になった可能性は、比較的小さいと考えられます。
「÷31」は既存のRM換算式より実データに合ったのか?
今回の÷31式と、
- Epley式
- Brzycki式
- 従来の÷40式
を、同じ172件のデータで比較しました。
実際の限界付近トップシングルと、各式から予測した値との差を計算しています。
| 換算式 | 平均絶対誤差 | 平均誤差 |
|---|---|---|
| 今回の÷31式 | 約4.18kg | −0.24kg |
| Epley式 | 約4.21kg | +0.43kg |
| Brzycki式 | 約4.52kg | −1.49kg |
| 従来の÷40式 | 約6.01kg | −4.79kg |
平均絶対誤差とは、
予測値が実際のトップシングルから平均何kgズレていたか
を表します。
今回の÷31式では、
約4.18kg
でした。
一方、従来の÷40式では、
約6.01kg
です。
さらに÷40式の平均誤差は、
でした。
つまり今回の172件では、
÷40式は限界付近トップシングルを平均約4.8kg低く見積もっていた
ことになります。
僕が以前から感じていた、
「÷40だと少し低く出るケースが多いのでは?」
という感覚とも一致しました。
独自に計算したらEpley式とほぼ同じになった
今回の分析で、個人的に一番興味深かったのはここです。
4,438件の実データを分析して独自の係数を求めた結果、
30.99
になりました。
一方、Epley式は、
です。
比較すると、
| Epley式 | 今回の独自式 | |
|---|---|---|
| 分母K | 30 | 30.99 ≒ 31 |
| 80kg×10回 | 約106.7kg | 約105.8kg |
| 平均絶対誤差 | 約4.21kg | 約4.18kg |
ほとんど同じです。
当サイトでは、
「Epley式に近づけよう」と考えて31にしたわけではありません。
4,438件のトレーニング記録から条件に合う172件を抽出し、そのデータから独立して係数を求めた結果、
30.99
になりました。
そして、昔から存在するEpley式の分母は、
30
です。
つまり、
実際のベンチプレス指導データから独立してRM換算式を求めたところ、結果としてEpley式に非常に近い数字になった
ということです。
もちろん、
Epley式が絶対的に正しいことを証明した
という意味ではありません。
また、
÷31がすべての人に最も正確
という意味でもありません。
ただ、今回収集したベンチプレスデータでは、
÷40よりも÷30付近の関係の方が実際の重量関係に合っていた
とは言えます。
80kg×10回なら推定1RMはいくつになる?
ここで最初の疑問に戻ります。
80kg×10回を各式で計算すると、
| 計算方法 | 推定1RM |
|---|---|
| 従来の÷40式 | 100.0kg |
| 今回の÷31式 | 約105.8kg |
| Epley式(÷30) | 約106.7kg |
となります。
今回の式では、
です。
そのため、当サイトでは今後、
を基本のRM換算式として使用します。
5回・8回・10回でも実データと近い
÷31式の倍率は、
5回なら、
8回なら、
10回なら、
です。
実データの中央値と比較すると、
| 回数 | 実データ中央値 | ÷31式 |
|---|---|---|
| 5回 | 1.167倍 | 1.161倍 |
| 8回 | 1.250倍 | 1.258倍 |
| 10回 | 1.333倍 | 1.323倍 |
となります。
5回だけ、8回だけ、10回だけに最適化したのではなく、
一つのシンプルな式で各レップ帯を比較的きれいに表現できています。
100kgを5〜10回できた場合の推定1RM
実際に100kgを使って計算すると、
| 100kgでできた回数 | 推定1RM |
|---|---|
| 5回 | 116.1kg |
| 6回 | 119.4kg |
| 7回 | 122.6kg |
| 8回 | 125.8kg |
| 9回 | 129.0kg |
| 10回 | 132.3kg |
となります。
例えば、
100kgをほぼ限界で8回
できた場合、推定1RMは、
約125.8kg
です。
実際のプレート刻みを考えるなら、
125〜127.5kg前後
が一つの目安になります。

RM換算にセット数は必要なのか?
今回のデータには、
- 3セット行っているケース
- 5セット行っているケース
があります。
セット数別にも確認したところ、
| セット数 | 分母Kの傾向 |
|---|---|
| 3セット | 32〜34前後 |
| 5セット | 30前後 |
という違いが見られました。
同じ重量・同じ回数でも、
何セットできたかによって1RMとの関係が変わる可能性
があります。
例えば、
100kg×10回を1セットだけギリギリできた人と、
100kg×10回を5セット行える人が、
まったく同じ筋力特性とは限りません。
ただし今回のデータでは、
- 3セット群のデータ数が少ない
- 参加者が異なる
- プログラム時期も異なる
といった問題があります。
そのため現段階では、
「3セットなら係数○○」「5セットなら係数○○」
と計算式へ組み込むのは早いと判断しました。
今回の第1版では、
セット数をRM換算式には入れません。
セット数による違いについては別記事で詳しく検証します。
【ベンチプレスのRM換算にセット数は必要か?実データで検証】
RM換算を使うときの注意点
今回の÷31式に限らず、RM換算にはいくつか注意点があります。
RM換算はあくまで推定値
RM換算は、
MAXを1kg単位で正確に言い当てるためのものではありません。
今回の÷31式でも、実際の限界付近トップシングルとの差にはばらつきがありました。
| 指標 | 誤差 |
|---|---|
| 誤差の中央値 | 約3.3kg |
| 約75%のデータ | 5.8kg以内 |
| 約90%のデータ | 9.6kg以内 |
つまり、
人によって5kg前後ズレることは普通にあります。
10kg近くズレるケースもあります。
そのため、
「推定1RMが132.3kgだから132.5kgが必ず挙がる」
という意味ではありません。
現在の筋力を大まかに把握するための目安として使うのが適切です。
「何回やったか」ではなく「最大何回できたか」が重要
例えば100kg×10回を行っても、
| 状態 | RM換算上の意味 |
|---|---|
| 10回目が限界 | 10RMに近い |
| あと1回程度できそう | やや余裕あり |
| あと3回できそう | 実際の最大反復回数はもっと多い |
となります。
10回でかなり余裕が残っている場合、
100kgを10RMとして扱うと実際の1RMを低く見積もる可能性があります。
RM換算を使う場合は、
その重量で最大何回程度できるのか
を基準にすることが重要です。
人によって得意なレップ帯が違う
同じ1RMの人でも、
- 高重量・低回数が得意
- 中重量・高回数が得意
といった個人差があります。
そのため、
同じ100kg×10回でも、全員がまったく同じMAXになるわけではありません。
RM換算値は一つの目安として考えてください。
体調や疲労によっても数字は変わる
実際のMAX重量は、
- 睡眠
- 疲労
- 体重
- フォーム
- インターバル
- 使用器具
- その日のコンディション
などによっても変化します。
RM換算が示しているのは、その記録から推定される筋力水準であって、今日必ずその重量が挙がるという保証ではありません。
今回の分析の限界
今回の分析にはいくつか重要な限界があります。
| 限界 | 内容 |
|---|---|
| 真の1RMではない | 比較対象は普段のトレーニングで行った限界付近トップシングル |
| RPEを毎回直接測定していない | レップ変更、次回重量、成否、挙がり評価などから推定 |
| 実験室データではない | 実際のトレーニング記録を使用 |
| 条件が完全には統一されていない | 睡眠、疲労、フォーム、体重などが異なる |
| 主な算出データ | 5回・8回・10回を使用 |
特に重要なのが、
今回のトップシングルは厳密な「真の1RM」ではない
という点です。
例えばトップシングルがRPE9.5なら、
あと少し重量を上げられた可能性があります。
逆に、失敗した重量が記録されている場合には、
その重量は本当の1RMより重かった可能性があります。
したがって厳密には今回の式は、
「限界付近の複数回セットから、限界付近のトップシングル重量を推定する式」
と表現する方が正確です。
ただし、明示的な失敗や見送りを除外して計算しても、
となり、基本解析の、
とほとんど変わりませんでした。
また今回の係数は5回・8回・10回のデータを中心に算出しており、それ以外の回数について個別に精度を検証したものではありません。
今回の結果を、
「科学的に31が証明された」
と表現するのは適切ではありません。
正確には、
実際のベンチプレス練習データを大量に分析し、一定の条件で限界付近のデータを抽出して係数を求めたところ、約31になった
という結果です。
結論|4,438件の実データから「÷31」になった
今回、5回・8回・10回のトレーニング記録、
4,438件
を分析しました。
その中から限界付近と判断できる条件を満たした、
172件
を抽出し、最小二乗法でRM換算式の係数を求めた結果、
となりました。
そのため当サイトでは今後、
を基本のRM換算式として使用します。
今回特に興味深かったのは、
独自のトレーニングデータから求めた「÷31」が、既存のEpley式「÷30」とほぼ同じになったこと
です。
一方、これまで使用していた÷40式は、今回のデータでは限界付近トップシングルを平均約4.8kg低く推定していました。
ただし、RM換算はあくまで推定です。
MAXをピッタリ当てるものではなく、現在の筋力を大まかに把握するための目安
として活用してください。

【ベンチプレスのRM換算にセット数は必要か?実データで検証】
参考文献
[1] Reynolds JM, Gordon TJ, Robergs RA. Prediction of one repetition maximum strength from multiple repetition maximum testing and anthropometry. Journal of Strength and Conditioning Research. 2006;20(3):584-592. DOI: 10.1519/R-15304.1.
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