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サプリメントのパッケージに、
INFORMED CHOICE(インフォームドチョイス)
というマークが表示されている見たことがありますか?
インフォームドチョイスとは、サプリメントやスポーツ栄養製品に、スポーツで禁止されている物質が意図せず混入するリスクを低減するための第三者認証です。
特に、ドーピング検査を受ける可能性がある競技者にとっては、使用するサプリメントを選ぶ際の重要な判断材料になります。
ただし、インフォームドチョイス認証を受けているからといって、
- 健康上の安全性が完全に保証されている
- WADA禁止表にある全物質を検査している
- ドーピング検査で絶対に陽性にならない
というわけではありません。
認証マークを見る際には、「何を確認している認証なのか」だけでなく、「何までは保証していないのか」も理解する必要があります。
この記事では、元ISO 22000審査員補・FSSC 22000コンサルタントの経験がある筆者が、食品安全マネジメントと第三者認証の経験をもとに、インフォームドチョイスの仕組みを詳しく解説します。
なお、僕自身は基本的にサプリメント不要派です。
筋力や筋肉量を伸ばすうえで優先すべきなのは、サプリメントよりも、トレーニング内容、食事、睡眠、継続性です。
トレーニングを始めたての頃は、ありとあらゆるサプリを試しましたが、結局必要なのはクレアチンだけという結論に至りました。
僕が利用していたのは、インフォームドスポーツ(インフォームドチョイスよりも少し項目の多い認証)を取得しているビーレジェンドのクレアチンです。
- アンチ・ドーピングおよび禁止薬物不使用に関する声明
- インフォームドチョイスとは
- インフォームドチョイスを運営するLGCとは
- インフォームドチョイスのマークが示すもの
- 日本でサプリメントはどのように扱われているのか
- 日本では医薬品成分を含む商品を食品として自由に販売できない
- なぜサプリメントにステロイドや禁止物質が混入するのか
- 禁止物質が意図的に添加される背景
- 意図しない禁止物質混入の背景
- 海外サプリメントを個人輸入する場合
- 一般的な品質検査だけでは不十分な理由
- インフォームドチョイス認証の詳しい仕組み
- インフォームドチョイスの検査項目は何を根拠に決めるのか
- WADA禁止表の全物質を検査しているわけではない
- 食品安全認証の専門経験から見たインフォームドチョイス
- インフォームドチョイスとインフォームドスポーツの違い
- インフォームドチョイス認証なら絶対に安全なのか
- インフォームドチョイス認証がない商品は危険なのか
- インフォームドチョイスに関するよくある質問
アンチ・ドーピングおよび禁止薬物不使用に関する声明
私は競技者ではありませんが、トレーニングにおける健全性と、発信者としての信頼性を重視し、アンチ・ドーピングの立場を明確にしています。
私はこれまでの生涯において、筋力向上、筋肥大、身体能力向上、体脂肪減少などを目的として、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)の禁止表に掲載される禁止物質・禁止薬物を一度も使用したことはありません。
アナボリックステロイド、テストステロンを含むホルモン剤、成長ホルモン、その他のドーピングに該当する薬物についても、これまで一度も使用していません。
また、これらの薬物について、使用を推奨したり、販売・譲渡・斡旋したり、個別の投与方法や使用量を指導したりすることもありません。
私の身体や挙上記録は、継続的なトレーニング、フォームの改善、適切なプログラム、栄養、休養によって築いてきたものです。
禁止薬物の使用は、使用者本人の健康を損なう可能性があるだけでなく、トレーニング業界全体への信頼を損なう要因にもなり得ると考えています。
私は今後も、禁止薬物に依存しないトレーニングの価値を伝え、健全で信頼できる情報発信を続けていきます。
インフォームドチョイスとは
インフォームドチョイスは、スポーツ栄養製品やサプリメントを対象とした、禁止物質検査と品質保証のための認証プログラムです。
公式サイトでは、インフォームドチョイスのマークについて、
- 製品がスポーツ禁止物質について定期的に検査されている
- スポーツ栄養製品を製造するための厳しい要求に適合した品質管理システムのある環境で製造されている
ことを消費者へ示すものと説明しています。
インフォームドチョイスは、完成品を一度だけ分析して終わる制度ではありません。
認証前には、次のような内容が確認されます。
- 商品の配合
- 使用する原材料
- 原材料供給者の管理方法
- 製造施設
- 製造工程
- 交差汚染防止
- 従業員教育
- トレーサビリティー
- 製品回収の手順
- 品質管理システム
- 実際の製品サンプル
認証後も、市場から購入した製品を使った継続的なブラインド検査と、製品・製造施設の再評価が行われます。
参照:
Informed Choice「認証までの流れ」
https://choice.wetestyoutrust.com/ja/about/certification-process
アンチドーピング認証の目的
インフォームドチョイスの主な目的は、サプリメントにスポーツ禁止物質が混入するリスクを低減することです。
サプリメントの内容は、パッケージに書かれた成分表示だけでは判断できない場合があります。
例えば、商品に禁止物質を意図的に配合していなくても、
- 原材料がすでに汚染されていた
- 同じ製造設備で別の商品を作っていた
- 計量器具や容器を共用していた
- 洗浄が不十分だった
- 原材料を取り違えた
といった理由で、表示されていない物質が混入する可能性があります。
そのため、禁止物質の混入リスクを確認するには、完成品の分析だけでなく、原材料、設備、製造工程、品質管理体制まで見る必要があります。
2007年に設立された認証プログラム
インフォームドチョイスは、LGCによって2007年に設立されました。
公式サイトでは、スポーツで禁止される物質による意図しない製品汚染のリスクを低減するために設計された、世界的な品質保証プログラムと説明されています。
インフォームドチョイスを運営するLGCとは
インフォームドチョイスは、英国を拠点とするLGCによって運営されています。
LGCは、分析、計量、標準物質、科学的検査などを行う国際的なライフサイエンス関連組織です。
インフォームドチョイスの禁止物質分析には、ISO/IEC 17025の認定を受けた試験方法が使用されています。
英国ではUKAS、米国ではA2LAという認定機関によって、対象となる試験所・試験方法が評価されています。
ISO/IEC 17025認定とは
ISO/IEC 17025は、試験所や校正機関の能力に関する国際規格です。
認定では、主に次のような内容が評価されます。
- 試験方法が妥当か
- 分析機器が適切に管理されているか
- 担当者に必要な力量があるか
- 測定結果の信頼性を管理しているか
- 試料を適切に識別・保管しているか
- 結果を追跡できる記録があるか
- 公平性が保たれているか
ただし、ISO/IEC 17025認定を受けた試験所で検査しているからといって、検査した製品のあらゆる安全性が保証されるわけではありません。
ISO/IEC 17025認定が示すのは、認定範囲に含まれる試験について、試験所が適切に分析を実施できる能力を第三者から評価されているということです。
メーカーの自己検査との違い
メーカーが自社製品について、
禁止物質は使用していません
第三者検査済みです
安全な工場で製造しています
と説明していても、それだけでは検査の内容が分からない場合があります。
確認しなければならないのは、次のような点です。
- どの試験所が検査したのか
- どの物質を対象にしたのか
- どの程度の濃度まで検出できるのか
- どの商品を検査したのか
- どのバッチを検査したのか
- サンプルを誰が選んだのか
- いつ検査したのか
- 製造施設まで評価したのか
- 認証後も継続的に確認しているのか
インフォームドチョイスでは、製品を販売するメーカーとは別の組織が、一定のプログラム基準に基づいて製品と製造工程を評価します。
ここに第三者認証の意味があります。
インフォームドチョイスのマークが示すもの
インフォームドチョイスの認証マークは、その商品が認証プログラムの要求事項に基づいて評価・検査されていることを示します。
具体的には、
- 製品と配合が評価されている
- 製造施設が書面評価を受けている
- 認証前の製品サンプルが検査されている
- 認証後も継続的な検査を受けている
- 市販品を使ったブラインド検査が行われている
- 検査済みバッチが公式サイトに掲載される
- 製品と製造施設が定期的に再評価される
という仕組みがあります。
認証マークが保証しないもの
一方、認証マークは次の内容を保証するものではありません。
- サプリメントの有効性
- 筋力向上効果
- 筋肥大効果
- 疲労回復効果
- 病気の予防・治療効果
- すべての人に対する健康安全性
- WADA禁止表の完全な網羅検査
- ドーピング違反が絶対に起こらないこと
- 日本の行政機関による許可・承認
つまり、インフォームドチョイスは「効果の認証」ではなく、主に禁止物質の混入リスクを管理するための認証です。
日本でサプリメントはどのように扱われているのか
インフォームドチョイスが必要とされる背景を理解するには、日本におけるサプリメントの法的位置づけも知っておく必要があります。
「サプリメント」という独立した法的区分はない
日本には、「サプリメント」という名前の独立した法的区分があるわけではありません。
一般にサプリメントと呼ばれる、
- 錠剤
- カプセル
- 粉末
- 顆粒
- ゼリー
- ドリンク
などの多くは、法律上は食品として扱われます。
「健康食品」も法律上の統一された区分ではなく、一般的に健康の維持・増進に役立つことをうたう食品全般を指す言葉として使われています。
健康に関する機能を表示できる国の制度には、保健機能食品があります。
保健機能食品は、次の3種類です。
- 特定保健用食品
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
これら以外の一般的なサプリメントは、一般食品または「いわゆる健康食品」として販売されています。
参照:
消費者庁「保健機能食品について」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims
消費者庁「健康食品(一般の方向け)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/health_food/
国が全サプリメントを個別に審査しているわけではない
日本で販売されるすべてのサプリメントについて、国が販売前に有効性や安全性を個別審査しているわけではありません。
特定保健用食品は、商品ごとに有効性と安全性について国の審査を受け、許可される制度です。
一方、栄養機能食品は、国が定めた成分量や表示方法に適合することで利用できる制度です。
機能性表示食品は、事業者の責任で安全性・機能性の科学的根拠などを消費者庁へ届け出る制度であり、国が個別商品の機能を審査・許可する制度ではありません。
さらに、これらに該当しない一般的なサプリメントは、商品ごとに国が有効性を確認しているわけではありません。
したがって、
日本の店舗で販売されている
=国が中身をすべて分析して承認している
という意味ではありません。
インフォームドチョイスは日本の公的認証ではない
インフォームドチョイスは、LGCが運営する民間の第三者認証です。
日本の、
- 特定保健用食品
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
- 医薬品承認制度
とは別の制度です。
したがって、インフォームドチョイスのマークを、
日本政府が安全性や効果を認めたマーク
と説明するのは適切ではありません。
日本では医薬品成分を含む商品を食品として自由に販売できない
日本では、医薬品として承認されていない成分を含むものを、食品や健康食品として自由に販売できるわけではありません。
健康食品として販売されている商品に医薬品成分が含まれていた場合、「無承認無許可医薬品」と判断されることがあります。
厚生労働省は、無承認無許可医薬品について、日本の医薬品制度に基づく品質、有効性、安全性の確認を受けていないと説明しています。
また、含有成分量が一定でなかったり、不衛生な環境で製造されたり、有害な不純物を含んだりする可能性があるとして注意喚起しています。
参照:
厚生労働省「無承認無許可医薬品情報」
https://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/diet/musyounin.html
日本国内でも医薬品成分を含む健康食品が確認されている
医薬品成分を含む健康食品は、海外だけの問題ではありません。
厚生労働省や自治体は、日本国内の店舗やインターネットサイトなどで販売される健康食品を購入し、医薬品成分の有無を調査しています。
医薬品成分が検出された商品については、販売中止、回収、行政指導、注意喚起などが行われることがあります。
参照:
厚生労働省「無承認無許可医薬品等買上調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/diet/musyounin_00007.html
このことは、日本国内のサプリメントがすべて危険だという意味ではありません。
多くの商品は、通常の食品として適切に製造・販売されています。
ただし、
日本国内で販売されているから、表示されていない医薬品成分が含まれる可能性は完全にない
とは言い切れません。
アンチドーピング上の禁止と日本法上の違法性は別
WADAの禁止表と、日本の法律は目的が異なります。
WADA禁止表は、競技者がスポーツ上使用してはいけない物質や方法を定めます。
一方、日本の法律は、
- 医薬品としての承認
- 製造
- 輸入
- 販売
- 広告
- 表示
- 所持
などを規制します。
そのため、
- スポーツで禁止されている
- 日本での所持が違法
- 日本で医薬品として販売できる
- 食品に配合できる
- 個人輸入できる
という問題は、それぞれ別に確認する必要があります。
日本で一般的に処方・販売される医薬品でも、競技中または常時禁止される場合があります。
反対に、WADA禁止物質であっても、日本での個人の所持自体が直ちに犯罪になるとは限りません。
参照:
WADA「Prohibited List」
https://www.wada-ama.org/en/resources/world-anti-doping-program/prohibited-list
なぜサプリメントにステロイドや禁止物質が混入するのか
サプリメントにステロイドやスポーツ禁止物質が含まれる背景は、大きく次の2つに分けられます。
- 商品の効果を強く見せるための意図的な添加
- 原材料や製造工程における意図しない混入
さらにその背景には、
- 短期間で強い効果を求める市場
- サプリメントと医薬品の規制差
- 国境を越えたインターネット販売
- 複雑なサプライチェーン
- 委託製造
- 新規化合物の登場
- 行政による市場監視の限界
などがあります。
禁止物質が意図的に添加される背景
短期間で強い効果を求める需要がある
筋肉量や筋力を増やすには、本来、適切なトレーニング、食事、睡眠を長期間継続する必要があります。
しかし、サプリメント市場には、
- 数週間で筋肉を増やしたい
- 短期間で体脂肪を落としたい
- 飲んだ直後に強い覚醒感を得たい
- トレーニング重量を一気に伸ばしたい
- ステロイドに似た効果を安全に得たい
という需要があります。
一般的な食品成分だけで、医薬品のような強い変化を短期間に起こすことは容易ではありません。
そこで、一部の悪質な事業者が、
- アナボリックステロイド
- ステロイド類似物質
- SARM
- 興奮作用を持つ物質
- 利尿薬
- 食欲抑制作用を持つ医薬品成分
などを商品へ意図的に添加する場合があります。
強い薬理作用のある物質を加えれば、利用者は短期間で変化を感じやすくなります。
その体感が口コミ、SNS投稿、リピート購入につながるため、違法添加を行う事業者にとって経済的な動機が生まれます。
FDAは、一部のボディビル関連商品がサプリメントとして販売されながら、アナボリックステロイドやステロイド類似物質を違法に含む場合があると注意喚起しています。
参照:
FDA「Caution: Bodybuilding Products Can Be Risky」
https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/caution-bodybuilding-products-can-be-risky
SARMがサプリメントのように販売される
SARMは、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの略です。
筋肉や骨に関係するアンドロゲン受容体へ作用することから、筋肉増強目的で利用されることがあります。
しかし、FDAはSARMを一般的なサプリメント成分ではなく、承認されていない薬物として扱い、重大な健康リスクがあると注意喚起しています。
SARMを含む商品が、
- 研究用
- 人体への使用を目的としない
- 合法ステロイド
- ステロイド代替品
- ホルモンサポート
などと表示されながら、実際には筋肉増強目的の消費者へ販売されることがあります。
参照:
FDA「Certain Bodybuilding Products Put Consumers at Risk」
https://www.fda.gov/drugs/fraudulent-products/certain-bodybuilding-products-put-consumers-risk-heart-attack-stroke-serious-liver-damage-and-more
成分を表示しない、別名で表示する
違法な成分をラベルにそのまま表示すれば、行政機関や通販事業者、競技者から警戒されます。
そのため、悪質な商品では、
- 医薬品成分を表示しない
- 植物エキスのような名前で表示する
- 独自ブレンドに含めて詳細を隠す
- 配合量を非公開にする
- 化学物質の別名や略称を使う
- ラベルと実際の配合を変える
といったことがあります。
FDAは、プレワークアウト商品から、ラベルに記載されていないDMAAが検出された事例を公表しています。
また、DMAAが「geranium extract(ゼラニウム抽出物)」などと関連づけて表示されることについて、植物に天然に存在することを示す信頼できる科学的根拠を把握していないと説明しています。
参照:
FDA「DMAA in Products Marketed as Dietary Supplements」
https://www.fda.gov/food/information-select-dietary-supplement-ingredients-and-other-substances/dmaa-products-marketed-dietary-supplements
FDA「PRE-FORMANCE BLACK may be harmful due to hidden ingredient」
https://www.fda.gov/drugs/medication-health-fraud-notifications/pre-formance-black-may-be-harmful-due-hidden-ingredient
つまり、
成分表示に禁止物質が書かれていない
ということと、
製品に禁止物質が含まれていない
ということは同じではありません。
新規・類似化合物が次々に登場する
ある物質が禁止・規制されると、化学構造を一部変更した類似物質が市場へ出ることがあります。
例えば、
- デザイナーステロイド
- 新規SARM
- プロホルモン
- アンフェタミン類似物質
- 既存医薬品の構造類似体
などです。
新しい物質の場合、
- 正式名称が統一されていない
- 毒性情報が少ない
- 分析用標準物質が入手しにくい
- 検査方法が確立されていない
- 法規制が追いついていない
- 一般的な検査項目に入っていない
という問題があります。
新規物質が市場に登場してから、行政機関や検査機関がその物質を把握し、分析方法を開発するまでには時間差が生じます。
この時間差も、禁止物質や未承認薬物が市場へ流通する背景です。
意図しない禁止物質混入の背景
原材料がすでに汚染されている
完成品メーカーがステロイドや刺激物を扱っていなくても、仕入れた原材料が上流工程ですでに汚染されている可能性があります。
サプリメントは、例えば次のような複数の事業者を経由します。
原料製造会社
↓
加工会社
↓
原料商社
↓
OEM製造会社
↓
ブランド運営会社
↓
販売店
実際には、さらに別の仲介業者や再委託先が入る場合があります。
上流の原料工場で、薬理作用を持つ成分や医薬品原料を扱っていた場合、設備、容器、保管場所などを介して、別の原料へ微量に混入する可能性があります。
完成品メーカーが原材料の試験成績書を確認していても、検査項目にスポーツ禁止物質が入っていなければ、混入を発見できない場合があります。
例えば、原材料について、
- 純度
- 水分
- 灰分
- 微生物
- 重金属
- 残留農薬
を検査していても、ステロイド、SARM、刺激物まで調べているとは限りません。
食品原料として規格に適合していることと、アンチドーピング上の汚染リスクが確認されていることは別問題です。
同じ設備を使用することで交差汚染が起こる
サプリメント工場では、一つの設備で複数の商品を製造する場合があります。
例えば、同じ工場で、
- ビタミンサプリメント
- クレアチン
- プレワークアウト
- 減量系商品
- ホルモン関連商品
- 海外向け商品
を製造している可能性があります。
前の商品を製造した後、設備に粉末が残っていれば、次の商品へ移る可能性があります。
混入経路としては、次のようなものが考えられます。
- ミキサー内部に前製品が残る
- 計量スコップや容器を共用する
- 搬送設備に残留する
- 充填機内部に前製品が残る
- 集じん設備から粉末が戻る
- 作業着や手袋に粉末が付着する
- 工場内に粉末が飛散する
- 洗浄が不十分
- 洗浄後の確認が不十分
- 製造順序が適切に管理されていない
同じ設備で製造しているからといって、必ず混入するわけではありません。
適切な設備設計、区域分け、専用器具、洗浄、洗浄後の検証、製造順序の管理によって、リスクは低減できます。
問題は、これらの管理が不十分な場合です。
原材料の取り違えや計量ミス
サプリメント工場では、外観の似た粉末原料を多数扱います。
そのため、
- 原料ラベルの貼り間違い
- 保管場所の間違い
- 計量済み原料の取り違え
- 作業指示書の読み違い
- 原材料コードの登録ミス
- バーコード照合の不備
- 計量器具の洗浄不足
などによって、誤った原料が製品へ投入される可能性があります。
これは、食品工場におけるアレルゲンや食品添加物の誤投入と同じ構造です。
ただし、取り違えた原料がステロイド類似物質や刺激物であれば、競技者にとって重大な問題になります。
OEM・委託製造で管理範囲が見えにくくなる
サプリメントの販売会社が、自社工場を持っているとは限りません。
実際には、
- ブランド会社が商品を企画する
- 商社が原材料を調達する
- OEM会社が製造する
- 別会社が包装する
- 外部倉庫が保管・出荷する
という分業が行われることがあります。
OEM製造そのものが悪いわけではありません。
適切に委託先を管理すれば、自社工場を持たなくても品質の高い商品を製造できます。
しかし、販売会社が、
- 実際の製造工場を確認していない
- 同じ設備で製造される他商品を把握していない
- 原材料供給者を評価していない
- 試験成績書だけを形式的に確認している
- 製造の再委託先を把握していない
場合、供給経路全体のリスクが見えにくくなります。
「日本のブランド」「国内販売」と書かれていても、原材料、製造、包装のすべてが日本国内とは限りません。
海外サプリメントを個人輸入する場合
海外でサプリメントでも、日本では医薬品に該当する場合がある
海外で食品やサプリメントとして販売されている商品でも、含有成分や表示内容によっては、日本では医薬品と判断される場合があります。
例えば、
- 日本で医薬品とされる成分を含む
- 医薬品的な効能・効果をうたっている
- 日本で食品への使用が認められていない成分を含む
といった場合です。
海外通販サイトで「dietary supplement」と表示されていることは、日本でも食品として扱われることを保証しません。
参照:
厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/topics/tp010401-1.html
自分用に輸入できても、販売や譲渡はできない
医薬品に該当するものを個人輸入する場合、原則として輸入者本人が自分で使用することが前提です。
輸入した商品を、
- 他人へ販売する
- 他人へ譲る
- 他人の分をまとめて輸入する
ことは認められません。
また、成分や商品によっては、一定数量以下でも輸入できない場合や、医師の処方などが必要になる場合があります。
参照:
厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html
個人輸入品は日本の承認制度による確認を受けていない
個人輸入される未承認医薬品などは、日本の制度に基づく品質、有効性、安全性の確認を受けていません。
そのため、
- 実際の製造者が分からない
- 表示と中身が一致しない
- 成分量が一定でない
- 不純物が含まれる
- 偽造品である
- 問題発生時の回収が難しい
- 健康被害時の救済が限定される
といったリスクがあります。
競技者にとっては、健康上の問題だけでなく、表示されていない禁止物質によるドーピング違反のリスクもあります。
一般的な品質検査だけでは不十分な理由
サプリメントメーカーが「品質検査済み」と説明していても、スポーツ禁止物質を検査しているとは限りません。
一般的なサプリメントの品質検査では、次のような項目が確認されます。
- 栄養成分
- 配合成分の含有量
- 微生物
- 重金属
- 水分
- 外観
- 重量
- 崩壊性
これらは、食品や製品としての品質を確認するために重要です。
しかし、ステロイド、SARM、興奮剤、利尿薬などを検出するには、それぞれに対応した分析方法と検出感度が必要です。
一般的な品質試験を実施していても、スポーツ禁止物質を対象にしていなければ、アンチドーピング上の汚染リスクを確認したことにはなりません。
また、人体に明確な薬理作用が生じないほどの微量であっても、競技者の尿や血液から代謝物が検出される可能性があります。
したがって、
健康影響が起きる量ではない
=ドーピング検査でも問題にならない
とは限りません。
インフォームドチョイス認証の詳しい仕組み
インフォームドチョイスの認証工程は、公式サイト上で4段階に分けて説明されています。
- 製品と製造工程の評価
- 認証前サンプル検査
- 製品認証・ロゴ使用・公式サイトへの掲載
- 認証後のブラインド検査と再評価
ここからは、それぞれの段階を詳しく見ていきます。
参照:
Informed Choice「認証までの流れ」
https://choice.wetestyoutrust.com/ja/about/certification-process
第1段階:製品全体の評価
認証前には、製品の全体像が詳しく調査されます。
公式サイトでは、次のような要因が評価対象として挙げられています。
- 製品ブランドの健全性
- 製品の種類
- 販売計画
- 製品の検査計画
- 製造施設
- 製品の配合成分
- 禁止物質の混入リスク
製品の成分表に、明らかな禁止物質が記載されていないかを見るだけではありません。
原材料の由来や製造施設で扱われる物質なども考慮し、製品が禁止物質で汚染される可能性を評価します。
製品の配合成分を評価する
配合されている原材料について、経験を持つ評価担当者が確認します。
例えば、
- 禁止物質そのものが配合されていないか
- 別名や類似名称で記載された成分がないか
- 禁止物質の前駆体となる可能性がないか
- 高リスクと考えられる原材料がないか
- 原材料供給者の情報が確認できるか
といった視点で評価されます。
原材料リストに問題があれば、認証へ進むことはできません。
製造施設を評価する
製造施設については、製造評価質問票を使った書面調査が行われます。
公式サイトでは、認証前の製造評価に次の内容が含まれると説明されています。
- 品質管理システムと監査
- 交差汚染防止に関する従業員研修
- 原材料
- 原材料供給者の評価手順
- トレーサビリティー
- 回収手順
これらは、禁止物質の混入を防ぎ、問題発生時に影響範囲を特定するために重要です。
品質管理システム
製品を安定的に製造するためには、
- 誰が何を担当するか
- どの手順で製造するか
- どのように記録するか
- 問題が起きたらどう対応するか
- 変更をどう管理するか
を明確にする必要があります。
完成品を検査するだけでなく、適合品を継続的に製造できる管理体制があるかが重要です。
従業員教育
交差汚染の防止は、設備だけで完結しません。
従業員が、
- 原材料の取り扱い
- 器具の使い分け
- 洗浄方法
- 作業着の管理
- 製造区域への入退室
- 異常時の報告
を理解していなければ、手順があっても正しく実行されません。
原材料供給者の評価
完成品メーカーが適切に管理していても、原材料が汚染されていれば問題が発生します。
そのため、
- どの供給者から購入しているか
- 原材料規格が明確か
- 試験成績書があるか
- 供給者を定期的に評価しているか
- 原材料変更時に確認しているか
などが重要になります。
トレーサビリティー
問題が発生した場合、
- どの原料を使ったか
- どの供給者から購入したか
- いつ製造したか
- どの商品に使ったか
- どこへ出荷したか
を追跡できなければなりません。
回収手順
問題のある商品が市場に出た場合、速やかに対象商品を特定し、販売停止・回収できる仕組みが必要です。
回収手順が書面上あるだけでなく、実際に機能するかも重要です。
第2段階:認証前の3バッチ検査
製品と製造工程の評価と並行して、認証前サンプルの検査が行われます。
公式サイトによると、少なくとも直近3回の製造バッチから、3つのサンプルが検査されます。
これらのサンプルから、禁止物質による汚染の兆候が確認されないことが必要です。
1つの製造バッチだけではなく、少なくとも3つのバッチを確認することには意味があります。
1回だけ問題なく製造できても、次の製造で同じ品質を維持できるとは限らないからです。
複数の製造バッチを見ることで、
- 原材料が変わっても管理できているか
- 製造日が違っても問題がないか
- 継続的に適切な製品を作れているか
を確認しやすくなります。
ただし、認証前に3バッチを検査したことは、今後製造されるすべてのバッチが必ず適合することを保証するものではありません。
第3段階:製品認証と公式サイトへの掲載
製品・製造工程の評価を完了し、認証前サンプルから禁止物質による汚染の兆候が確認されなければ、製品が認証されます。
認証後、企業はブランド基準に従い、認証製品にインフォームドチョイスのロゴを使用できます。
ロゴは自由に使用できるものではなく、認証企業へブランド基準が提供されます。
製品ラベルへ使用する場合も、インフォームドチョイスのマーケティングチームへ提出して許可を得る必要があります。
認証手順が完了するまでは、インフォームドチョイスのロゴを付けた製品を販売できません。
認証商品と検査済みバッチが公開される
認証商品は、インフォームドチョイス公式サイトへ掲載されます。
また、実際に検査されたバッチ番号も掲載されます。
公式データベースでは、
- ブランド名
- 商品名
- バッチ識別番号
から検索できます。
参照:
Informed Choice「認証ブランド・商品検索」
https://choice.wetestyoutrust.com/ja/informed-choice-certified-brands
同じメーカーのすべての商品が認証されているとは限りません。
認証商品を確認する場合は、ブランド名だけでなく、商品名まで確認する必要があります。
第4段階:認証後の毎月のブラインド検査
認証後は、少なくとも毎月1回、各製品について市場から無作為に購入した商品を使ったブラインド検査が行われます。
ブラインド検査用のサンプルは、メーカーが検査用として提出するものではありません。
インフォームドチョイスのプログラム管理チームが、実店舗やオンラインの小売店から購入します。
なぜ市販品を購入して検査するのか
メーカーから提出されたサンプルだけを検査する場合、消費者が実際に購入する商品と同じ状態かを完全には確認できません。
極端にいえば、検査用として特別に管理されたサンプルが提出される可能性を排除できません。(実際よくある話です)
市場から商品を購入すれば、一般の消費者が購入できる商品に近い状態で検査できます。
これがブラインド検査の大きな意味です。
検査したバッチ番号を公開する
認証後に検査された製品のバッチ番号も、公式サイトへ掲載されます。
そのため、競技者は自分が購入した商品のバッチ番号と、公式データベースに掲載された検査済みバッチを照合できます。
ただし、インフォームドチョイスは、製造されたすべてのバッチを販売前に検査する制度ではありません。
製品と製造施設の定期的な再評価
認証後も、製品と製造施設がインフォームドチョイスの要求事項へ継続的に適合しているか、定期的に再評価されます。
製品は、認証後も変更される可能性があります。
例えば、
- 原材料供給者の変更
- 配合変更
- 製造工場の変更
- 製造設備の変更
- 包装工程の変更
- 商品リニューアル
- 製品名の変更
などです。
認証時に問題がなかったとしても、変更後に新しいリスクが発生する可能性があります。
そのため、認証を一度取得すれば永久に同じ状態が保証されるわけではありません。
インフォームドチョイスの検査項目は何を根拠に決めるのか
インフォームドチョイスでは、WADA禁止表に掲載された物質を、単純に上から順番にすべて検査しているわけではありません。
検査項目は、主に次の情報をもとに設定・更新されます。
- WADA禁止表
- 過去のサプリメント汚染事例
- LGCが蓄積した分析データ
- サプリメントへ混入する現実的な可能性
- アンチドーピング機関からの情報
- 新たに市場へ登場した成分
- 新規・類似化合物
- 分析方法として適切に測定できるか
WADA禁止表を基礎にする
検査項目を考えるうえでの基礎になるのは、WADA禁止表です。
検査対象には、例えば次のようなカテゴリーが含まれます。
- タンパク同化薬
- 興奮剤
- β2作用薬
- 利尿薬
- 隠蔽薬
- 乱用薬物
- SARM
- バプタン
- PPAR関連物質
公式サイトでは、現在285種類以上の禁止物質および安全上問題となる物質を定期的に検査していると説明しています。
過去の汚染事例を考慮する
WADAで禁止されている物質であっても、サプリメントへ混入する現実的な可能性が極めて低いものと、過去に繰り返しサプリメントから見つかっているものでは、検査上の優先度が異なります。
LGCは、長年にわたるサプリメント分析の経験から、実際に混入リスクがある物質を把握しています。
つまり、検査項目は、
WADAで禁止されているか
+
サプリメントへ混入する可能性があるか
というリスクベースの考え方で設定されます。
新たな脅威を監視する
サプリメント市場では、新しい成分や類似化合物が継続的に登場します。
例えば、
- 新規SARM
- デザイナーステロイド
- 新しい刺激物
- 既存医薬品の類似化合物
- 新しいプロホルモン
などです。
LGCは、過去の汚染物質だけでなく、新たに出現する脅威も監視し、必要に応じてスクリーニング項目を更新します。
製品・原材料のリスクも評価する
認証前には、商品ごとの配合や原材料、製造施設が評価されます。
例えば、
- 高リスクな成分を使用していないか
- 同じ工場で禁止物質を扱っていないか
- 原材料供給者の管理が十分か
- 交差汚染防止策があるか
- 原材料の保管・識別が適切か
などを確認します。
ただし、公開情報の範囲では、商品ごとに検査対象物質をどの程度変更するのか、共通スクリーニングに追加検査を組み合わせるのかといった詳細な内部運用までは明らかにされていません。
分析方法として測定できる必要がある
危険性が疑われる物質を、すぐに正式な検査項目へ追加できるとは限りません。
検査項目へ加えるためには、
- サプリメントから対象物質を抽出できるか
- 他成分と区別できるか
- 十分に低い濃度まで検出できるか
- 粉末や液体など製品形態の影響を受けないか
- 繰り返し測定して同じ結果が得られるか
- 誤検出や見逃しを管理できるか
を確認する必要があります。
「検査すべき物質を決めること」と「正確に分析できる方法を確立すること」は別問題です。
WADA禁止表の全物質を検査しているわけではない
インフォームドチョイスが285種類以上を検査していても、WADA禁止表のすべての物質を検査しているわけではありません。
WADA禁止表には、具体的に名称が書かれた物質だけでなく、
- 類似した化学構造を持つ物質
- 類似した生物学的作用を持つ物質
- 代謝物
- 関連化合物
などを含む場合があります。
また、競技者の尿・血液を分析するドーピング検査では、摂取した物質そのものではなく、体内で分解された代謝物を検出することがあります。
一方、サプリメントの製品分析では、主に製品中に存在する元の物質を測定します。
そのため、
競技者検体のドーピング検査
と、
サプリメント製品の禁止物質スクリーニング
は、対象も分析方法も同じではありません。
インフォームドチョイスの検査は、WADA禁止表を完全に網羅する検査ではなく、サプリメントへ混入する現実的なリスクを考慮したスクリーニングと理解するのが適切です。
食品安全認証の専門経験から見たインフォームドチョイス
ここからは、元ISO 22000審査員補・FSSC 22000コンサルタントとしての経験を踏まえ、認証制度を見る際に重要だと考える点を解説します。
なお、ISO 22000、FSSC 22000、インフォームドチョイスは、それぞれ別の規格・認証制度です。
ただし、
- リスクを特定する
- 管理方法を定める
- 手順を標準化する
- 記録を残す
- 不適合を是正する
- 変更を管理する
- 定期的に見直す
- 第三者が適合性を評価する
という基本的な考え方には共通する部分があります。
完成品検査だけでは十分ではない
一般の消費者は、認証について、
完成品を検査して問題がなければ、合格マークを付けるもの
と考えやすいと思います。
しかし、完成品検査だけで、製造した商品のすべてを保証することはできません。
例えば、大量に製造した商品の中から1個だけを検査し、問題がなかったとしても、残りのすべてが同じ状態だと断定することはできません。
完成品検査には、サンプリング上の限界があります。
だからこそ、
- 正しい原材料を使用しているか
- 原材料を取り違えない仕組みがあるか
- 設備を適切に洗浄しているか
- 製造条件を管理しているか
- 変更時にリスクを再評価しているか
- 問題発生時に製品を止められるか
- 該当ロットを追跡・回収できるか
といった製造の仕組みを確認する必要があります。
認証の本質は、たまたま検査した1個が適合していたことだけではありません。
適合品を継続的に製造できる仕組みがあるかを見ることが重要です。
仕組みの評価だけでも十分ではない
一方、製造手順や管理体制だけを評価すれば十分というわけでもありません。
どれほど立派な手順書があっても、実際の製品に禁止物質が混入していれば意味がありません。
製造現場では、
- 手順書どおりに作業されていない
- 記録だけが作成されている
- 洗浄が不十分
- 原材料を取り違えた
- 従業員教育が不足していた
- 想定していなかった経路から混入した
といったことが起こり得ます。(ちなみに僕は製造現場経験も5年ほどあります)
そのため、
製造・品質管理の仕組みを確認する
+
実際の製品を分析する
という両方が重要です。
インフォームドチョイスが、製造施設の評価と製品分析を組み合わせている点には意味があります。
市販品を使うブラインド検査には意味がある
メーカーが選んで提出したサンプルだけを検査する場合、一般に流通する商品と完全に同じ状態かを確認しにくい場合があります。
小売店やオンラインショップから無作為に購入すれば、消費者が実際に購入できる商品に近い状態で分析できます。
ブラインド検査は、
- 検査用の特別なサンプルを避ける
- 市場に流通する製品を確認する
- 認証後の品質を継続的に監視する
という意味を持ちます。
認証マークより認証範囲を確認する
認証マークが付いた商品を見ると、そのメーカーのすべての商品が認証済みだと誤解しやすくなります。
しかし、インフォームドチョイス公式サイトも、すべての企業が製品ライン全体を認証しているわけではないと注意しています。
確認すべきなのは、
- ブランド名
- 商品名
- 配合
- フレーバー
- 販売地域
- バッチ番号
- 現在の認証状況
です。
インフォームドチョイスとインフォームドスポーツの違い
インフォームドチョイスと似た認証に、インフォームドスポーツがあります。
どちらもLGCが運営する禁止物質検査プログラムです。
大きな違いは、認証後のバッチ検査の方法です。
インフォームドチョイス
インフォームドチョイスでは、
- 製品と製造施設を評価
- 認証前に少なくとも3バッチを検査
- 認証後に毎月、市販品をブラインド検査
します。
ただし、製造されたすべてのバッチを販売前に検査する制度ではありません。
インフォームドスポーツ
インフォームドスポーツでは、認証商品のすべての製造バッチを、市場へ流通させる前に検査します。
さらに、市場から商品を購入するブラインド検査も行われます。
競技者はどちらを選ぶべきか
ドーピング検査を受ける競技者で、インフォームドチョイスとインフォームドスポーツの両方から選べるのであれば、すべてのバッチを流通前に検査するインフォームドスポーツを優先する考え方には合理性があります。
ただし、インフォームドスポーツ認証であっても、
- すべての禁止物質を検査している
- ドーピング違反が絶対に起こらない
- 使用者の責任がなくなる
というわけではありません。
インフォームドチョイス認証なら絶対に安全なのか
結論からいえば、絶対安全を保証する認証ではありません。
全禁止物質を検査しているわけではない
285種類以上を検査していても、WADA禁止表のすべての物質を検査しているわけではありません。
検査対象外の物質や、新たに登場した類似化合物が存在する可能性があります。
分析には検出限界がある
どれほど高性能な分析機器でも、無限に低い濃度まで測定できるわけではありません。
「検出されなかった」という結果は、通常、
採取したサンプルについて、使用した分析方法と検出限界の範囲内で検出されなかった
という意味です。
あらゆる物質が完全なゼロであることを数学的に証明するものではありません。
サンプリングには限界がある
インフォームドチョイスでは毎月ブラインド検査を行いますが、市場にあるすべての製品を検査するわけではありません。
検査したサンプルが適合していても、同じ商品名のすべての個体を直接分析したことにはなりません。
これが、製品分析だけでなく製造工程の評価も必要な理由です。
認証後に変更が起こる可能性がある
認証後に原材料、製造工場、設備、配合などが変われば、リスクも変わります。
そのため、過去に認証されていたという情報だけではなく、購入時点の認証状況を確認する必要があります。
競技者の責任はなくならない
認証商品を使っても、競技者の責任が完全になくなるわけではありません。
他のサプリメント、医薬品、海外購入品、飲食物などから禁止物質を摂取する可能性もあります。
第三者認証はリスク低減策であって、ドーピング違反時の免責を保証する制度ではありません。
インフォームドチョイス認証がない商品は危険なのか
認証がないことだけを理由に、危険な商品だと断定することはできません。
認証は任意
インフォームドチョイスは、メーカーが任意で参加する民間認証です。
品質に問題がなくても、
- 認証費用
- 販売規模
- 主な顧客層
- 競技者向けではない
- 海外展開をしていない
といった理由で認証を取得しない企業もあります。
したがって、
未認証=禁止物質を含む
ではありません。
未認証と不適合は違う
認証されていない商品には、
- そもそも申請していない
- 申請中
- 認証取得を必要としていない
- 契約を終了した
- 要求事項を満たせなかった
など、複数の可能性があります。
認証マークがないという情報だけでは、その理由までは分かりません。
競技者にとっては判断材料が減る
一方、未認証商品は、競技者にとって確認できる情報が少なくなります。
メーカーが「検査済み」と説明していても、
- 対象物質
- 試験方法
- 試験所
- 検出感度
- 対象バッチ
- サンプルの選び方
- 製造施設の評価
が分からなければ、禁止物質混入リスクを判断しにくくなります。
認証があれば絶対安全ではありませんが、一定の基準と公開情報がある分、判断材料は増えます。
インフォームドチョイスに関するよくある質問
インフォームドチョイスは何を確認する認証ですか?
サプリメントへスポーツ禁止物質が混入するリスクを低減するため、製品の配合、原材料、製造施設、品質管理体制などを評価し、実際の製品を分析する認証です。
認証後も、市販品を使った毎月のブラインド検査が行われます。
インフォームドチョイス認証なら絶対に安全ですか?
絶対的な安全を保証するものではありません。
全禁止物質を検査しているわけではなく、分析やサンプリングにも限界があります。
認証は、禁止物質混入リスクを低減するための仕組みです。
認証商品ならドーピング検査で絶対に陽性になりませんか?
絶対的な保証ではありません。
検査対象外の物質、他のサプリメント、医薬品などが原因になる可能性もあります。
競技者本人の責任もなくなりません。
インフォームドチョイスとインフォームドスポーツの違いは?
インフォームドチョイスは、認証後に毎月、市販品を無作為に購入してブラインド検査します。
インフォームドスポーツは、認証商品のすべての製造バッチを市場流通前に検査します。
ISO 22000認証工場なら禁止物質も検査済みですか?
ISO 22000は食品安全マネジメントシステムの規格であり、アンチドーピング専用ではありません。
認証工場であっても、WADA禁止物質を製品分析しているとは限りません。
FSSC 22000認証工場なら安全ですか?
食品安全上の管理体制を判断する材料にはなりますが、禁止物質混入リスクを直接確認するアンチドーピング認証ではありません。
インフォームドチョイス認証がない商品は危険ですか?
認証がないだけで危険とは断定できません。
認証は任意であり、品質に問題がなくても取得していない商品があります。
ただし、競技者にとっては第三者検査に関する判断材料が少なくなります。
日本国内で販売されていれば安全ですか?
日本国内で販売されていることは、国がすべての成分を分析・承認したことを意味しません。
国内で販売される健康食品から医薬品成分が検出された事例もあります。
海外でサプリメントなら、日本でも食品ですか?
必ずしも食品とは限りません。
含有成分や表示内容によって、日本では医薬品に該当する可能性があります。
クレアチンはドーピング禁止物質ですか?
一般的なクレアチンモノハイドレート自体は、WADA禁止表に掲載される禁止物質ではありません。
ただし、製品に別の禁止物質が混入していれば問題になります。
一般の筋トレ愛好家にも必要ですか?
必須ではありません。
ただし、製造施設の評価や禁止物質検査を受けていることは、製品品質を判断する材料の一つになります。
